目的・概要
プラズマ科学研究ユニットの概要
幅広い時空間スケールの非線形性や非平衡性に支配される核融合プラズマや光量子プラズマ、基礎・応用プラズマや宇宙・天体プラズマ、また、同様の過程が本質的な役割を果たす物質科学や生命・生物科学、数理科学において鍵となる諸現象を対象に、それらを分野横断的・俯瞰的に探究する研究活動を学内および国内外の関連研究機関の研究者と資源を共有・連携して行うことにより、複雑性と多様性に満ちた新領域のプラズマ科学の創出・構築と応用研究を推進するとともに、それらを牽引する人材育成を行うプラットホームとしての役割を果たす。
プラズマ科学研究ユニットの背景と目的
第4の物質状態であるプラズマ(荷電粒子多体系)は、核融合・光量子プラズマ、放電・大気圧プラズマ、宇宙・天体プラズマなど、電磁場と自己無撞着に相互作用する自由度を通して多彩で豊富な構造や機能を創出し、多様な学術・応用研究の一端を担ってきた。そのようなプラズマが重要な役割を果たす次世代のエネルギー源を目指した核融合研究では、国際熱核融合炉(ITER)を中心に「燃焼プラズマ」が、宇宙での極限現象の解明や医療応用を目指した光量子研究では、J-KAREN(QST)、LFEX(大阪大学)やELI(欧州)を中心に集光強度が超相対論領域達する高強度レーザーで生成される「高エネルギー密度プラズマ」が実現されつつあり、プラズマ研究は新たなフェーズに差し掛かっている。
これらのプラズマは、線形理論や熱平衡理論に基づく従来の研究アプローチだけでは解明困難な強い非線形性や非平衡性に支配される複雑系であることから、それらを統一的・普遍的に説明・記述する理論は確立されていない。これらの難題を克服しつつ、核融合・光量子プラズマを中心に、次世代のプラズマ研究を成功に導くには、上述の国家レベルのプロジェクト研究への積極的な参画を通して大学が当該プラズマ研究を牽引・推進するとともに、同様の過程が本質的な役割を果たす物質科学や生命・生物科学、数理科学など、異分野との積極的な交流を通して多様な知見を集約することにより、分野横断的・融合的に諸課題を解決していく必要がある。大学の強みを活かし、これらを行う共通のプラットホームとして、本ユニットを設立する。