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研究内容
D. データ駆動科学による数理モデリング / レーザー生成プラズマの実験・数値シミュレーション
Modelling based on data-driven science / Experiment and simulation for laser-produced plasmas
一般にプラズマは強い非平衡性と非線形性からそのダイナミックスは複雑であり、加えて運動論的効果が本質的な役割を果たすことから位相空間を取り扱う必要があるため、シミュレーションで結果が得られたとしても、その大規模なデータの背後に潜む物理を人間が理解できない場合が多いです。
プラズマ・核融合基礎学分野では、得られたデータをニューラルネットワークと呼ばれる方法論を用いて機械学習することで、そのデータがどのような偏微分方程式で支配されているか推論する機械学習アルゴリズムを開発しています。本手法を用いることで、大規模シミュレーションで得られたデータを再現可能な少数自由度モデルを効率的、かつ高精度に構築することが可能となります。加えて、粒子/熱輸送と密度/運動量/温度の因果関係を推論する機械学習モデルの開発や、深層学習への拡張など行っています。
レーザー生成高エネルギー密度プラズマの閉じ込めに関する実験・数値シミュレーション
近年のレーザー技術の急速な進展に伴い、パルス長がフェムト秒からピコ秒と極端に短く、一方、出力パワーがテラワットからペタワットに及ぶ高強度レーザーが開発されています。このようなレーザーを様々な物質に照射することにより、物質は瞬時に電離するとともに、電子は光速近くにまで加速されます。すなわち、相対性理論が支配する、これまでに例を見ない“高エネルギー密度プラズマ”を生成することができます。この高エネルギー密度プラズマは、次世代の小型の粒子線がん治療装置の開発や核融合、高エネルギー宇宙線の生成起源の解明など、医療・産業・学術等への幅広い応用研究が期待されていますが、通常パルス長程度の非常に短い時間スケールで消失します。したがって、高エネルギー密度プラズマ状態を長時間保持する(閉じ込める)ことが応用研究につなげるためのポイントとなります。
プラズマ・核融合基礎学分野では、このような超高強度レーザーと物質との相互作用のシミュレーション研究を基礎に、レーザー核融合研究も含め、高エネルギー密度状態の科学に関わる様々な学術・応用研究に取り組んでいます。また並行して、レーザー科学の研究者と連携して、理化学研究所のX線自由電子レーザー(SACLA)や、京都大学科学研究所のT6レーザーといった大型レーザー施設において、高強度レーザーの照射実験を展開しています。また、最先端の半導体技術を駆使することで、世界に類を見ないマイクロメートルオーダで精緻にデザインされたターゲットを独自開発しています。